【ジャニス渚】一番好きな季節...今は秋
「一番好きな季節は?」と聞かれて、若い頃の私はいつも「夏」と答えていた。
太陽がギラギラと照りつける日差しの中、海へ行ったり、夜遅くまで友人と遊んだり、
花火や祭りに心を躍らせたり…。
夏にはエネルギーと自由、そして何かが始まるようなワクワク感が満ちていた。
でも、今は違う。
一番好きは季節を尋ねられたら、迷わず「秋」と答えるようになった。
その変化に自分自身驚きつつも、心のどこかで納得もしている。
秋は、すべてがちょっぴり静かになる季節。
風は涼しく、空は高く、木々は少しずつ色づきながら、季節の終わりと始まりを告げてくれる。
忙しなく過ぎる日常の中で、ふと立ち止まりたくなる瞬間が増えるのも、秋ならではだと思う。
そして何より、秋には”深さ”がある。
派手なイベントが少なくなる分、自分の内面に目を向ける余白が生まれる。
静かな音楽を聴きながら本を読んだり、温かい飲み物を片手に空を眺めたり。
そんな何気ない時間が、今はとても心地よい。
若い頃は、外にある刺激などに惹かれていた。
今は、静けさやぬくもり、そして季節の移ろいの中にある、繊細な美しさに魅力を
感じるようになった。
きっとそれは、年齢を重ねたというよりも、日々の中で大切にしたいものが、少しづつ
変わってきたからかもしれない。
夏の情熱も大好きだったけれど、今は秋の穏やかさが、何よりも心にしみる。
一番好きな季節...今は迷わず、秋だと答える自分がいる。

